池田市が、令和2年度「大阪府スマートシティ戦略推進補助金」の採択事業に選定されました。

2020年7月31日  池田市が、令和2年度「大阪府スマートシティ戦略推進補助金」の採択事業に選定されました。
1.スーパーシティについて
 スーパーシティは、最先端技術を活用し、第4次産業革命後に、国民が住みたいと思う、より良い未来社会を包括的に先行実現するショーケースを目指すものであり、「丸ごと未来都市を作る」ことを目指しているとされています。

スーパーシティに求められる要件は、以下の3点です。

 まず、個別分野にとどまらず、生活全般にまたがっていることです。移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ごみ、防犯、防災・安全といった生活のあらゆる場面をスマート化するものであり、少なくとも5領域以上について、分野横断的に取り組むことが求められます。
 次に、最先端技術の実証を一時的に行うのではなく、未来社会での生活を先行して現実にする、すなわち、実際の暮らしへの実装であることです。
 最後に、未来社会の実現に向けて何より重要なこととして、技術開発側・供給側の目線ではなく、住民目線で理想の未来社会を追求する、住民目線のプロジェクトであることです。

 スーパーシティとよく似たものに「スマートシティ」があります。スマートシティは、都市の抱える諸課題に対して、ICT等新技術を活用しつつ、マネジメントが行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区のことをいうものですが、スーパーシティとの大きな違いは、スマートシティが、例えばエネルギーや交通、医療・介護、子ども・子育て支援といった特定の分野における課題解決のために先端技術を活用するものである一方で、スーパーシティは、複数分野にわたって、課題解決や環境整備を目指すものであることです。
 ただ、その実現にあたっては、先端技術の安全・安心を確保しつつ、住民のみなさんの合意を得ることが必要です。

 そして、未来社会像として、国は「Society 5.0」を提唱しています。
 これは、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会であり、全国の自治体でスーパーシティが実現した将来の究極の姿といえます。

2.まちはどのように変わるのか。
 私の想像するスーパーシティ像の一つの例として、「アトムの世界」「誰も見たことのないまち」が挙げられます。

 協議会のホームページに寄せたメッセージには、以下のようにまとめています。

 健康(医療・介護)の分野では、多くの方々から得られた健康に関するデータを元に、一人ひとりの状態に応じた運動メニューの提供など、ヘルスケアの向上が可能になります。
 子ども・子育て支援の分野では、妊娠から出産、育児、幼児教育から学校教育まで、それぞれの児童に合った、質の高い教育支援が可能になることでしょう。
 エネルギーの分野では、エネルギーの使い方などの状況から、無理なく省エネ行動が進められるとともにクリーンエネルギーの活用が広がり、子ども世代の負担を軽くすることができます。
 もう少し具体的に想像してみましょう。仕事帰り、大阪梅田駅で電車に乗れば、その情報をもとに、池田駅の改札を出たタイミングにあわせ通勤で使用している自転車が準備され、その前かごには夕食の材料が揃えられている、ウェアラブル端末には健康に関するデータが集められ、異常が感知されれば、診療所への受診を勧められたり、ウォーキングなどの運動を指示されたりする。具体的なシーンについては、総務省がまとめられた「未来のイメージ 15の生活シーン」を参照してください。今からワクワクしてきませんか。

3.伏尾台地域で進める日本版MaaS実証実験
 池田市で実際に始められようとしている事例を紹介します。協議会のホームページでも紹介されていますが、「(仮称)オールドニュータウンにおける高齢者見守りMaaS~住民主体の送迎サービスとIoTセンシング技術の連動」事業が、国土交通省~新たなMaaSの構築を牽引するモデルプロジェクト38事業~に認定されるとともに、大阪府スマートシティ戦略推進補助金にも採択されました。

 高齢化率が40%を超え、交通弱者が多いため、自宅から地域拠点にある診療所やスーパーに行くにも困難な状況にある伏尾台地域において、既に地域住民のみなさんが独自に行っておられる無償送迎サービス(ちょこ乗り)に併せて、アプリによる配車支援や、歩行者感知センサーによる安全性向上、ビーコンによる高齢者の安否確認サービスなどを行うもので、今年の12月1日から3か月間にわたり実証実験を行います。

 ここで、「MaaS」についてお話しさせていただきます。MaaSとは「Mobility as a service」の略であり、出発地から目的地まで、移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに提供するなど、移動全体を1つのサービスと捉え、利用者にとって一元的なサービスとして、提供する概念・考え方のこととされています。

 具体的には、①スマホアプリを活用し、②出発地から目的地まで最適な移動手法でシームレスにつなぎ、③移動手段の検索、予約、決済を一括して行うことにより一元的なサービスを提供するもので、伏尾台地域では、最寄のバス停からのラストワンマイルの支援が期待されます。

 なお、この実証実験は、国及び府の補助金に関する内示を得ており、総事業費 2,500万円のうち、1,500万円が補助事業として実施されます。

4.おわりに
 来るべき未来を実現するためには、社会に定着させるための実装実験の場が必要です。課題先進都市であり、かつモデル都市として最適な規模感であること、また、世界に冠たるイノベーションを実現した企業発祥の地であるとともに、大学をはじめとする先端技術の研究施設も存在していること、そして、地域のコミュニティ力の高さから、池田市は、まさに「イノベーションを起こすことができるプラットフォーム」にふさわしいと考えます。

 私たちの子どもやその子どもたちが活躍する30年後、50年後も安心して生活できるまちづくりを進めるのは、私たち大人の責務であり、今後、我々が直面するであろうあらゆる社会課題の解決に貢献してまいります。そして、本協議会には、より多くの地域住民、企業など関係する主体を巻き込みながら、まちづくりの基盤整備を強力に推進される中核となられることを期待しています。

(一般社団法人 池田市スーパーシティ推進協議会ホームページより抜粋)